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浴室は、建物の中でも特に高い防水性能が求められる場所です。
毎日、温水や洗剤が使われ、湿った状態と乾燥した状態を繰り返します。タイル仕上げの浴室では、タイル目地から入った水分が保護モルタル内部に残り、防水層が長時間湿潤状態になることもあります。
浴室の漏水は、壁や床の腐食、カビ、下階への漏水など、大きな被害につながる可能性があります。完成後の防水層はモルタルやタイルの下に隠れるため、不具合が発生すると簡単には補修できません。
そのため、浴室防水では、使用環境に適した防水工法を選び、正しい手順で施工することが重要です。
今回は、一般的な「ウレタン防水」と、当社が施工する「無溶剤型アスファルト防水」の違いをご紹介します。
ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を塗り重ね、硬化させることでゴム状の防水層をつくる工法です。
液体材料を使用するため、配管まわりや入隅など、複雑な形状にも施工しやすいという特長があります。また、継ぎ目のない防水層を形成でき、比較的軽量であることから、屋上やバルコニーを中心に広く採用されています。
適切な場所に、メーカーの仕様どおり施工すれば、非常に優れた防水工法です。
ただし、防水材であれば、どこにでも同じように使用できるわけではありません。
一般的な建築用ウレタン防水は、主に雨水が適切に排水される屋上やバルコニーでの使用を想定しています。
屋上に雨が降っても、通常は床勾配と排水ドレンによって水が排出されます。そのため、防水層には乾燥する時間があります。
一方、浴槽や水槽、プールなどは、水圧を受けながら長期間水に接する環境です。
タイル仕上げの浴室も、水槽のように常時水没するわけではありませんが、タイル目地や保護モルタルに入った水分によって、防水層が長時間湿った状態になる可能性があります。
つまり、同じ「水を防ぐ場所」でも、屋上と浴室では防水材が置かれる条件が異なります。
ウレタン防水が水に弱いという意味ではありません。
正確には、一般的な屋上用ウレタン防水の多くは、常時水没や長期間の滞水を前提として設計されていないということです。
長期間水分に触れ続けると、使用する材料や施工条件によっては、次のような不具合につながる可能性があります。
特に浴室では、温水、高湿度、洗剤、皮脂、セメント系保護モルタルのアルカリなど、複数の条件が防水層に作用します。
また、ウレタン防水は、液体材料を現場で塗って防水層を形成します。そのため、塗布量が不足すると、設計どおりの膜厚になりません。
浴室には、床と壁の取り合い、排水口、配管貫通部、ドア下、浴槽まわりなど、漏水の原因になりやすい複雑な箇所が数多くあります。平場だけでなく、こうした細部でも均一な厚さを確保する技術が必要です。
浴室には、すべてのウレタン防水が使えないということではありません。
メーカーが浴室用途を認め、温水や長期湿潤、保護モルタル、タイル仕上げなどに対応した専用システムであれば採用できます。
浴室にウレタン防水を使用する場合は、少なくとも次の点を確認する必要があります。
一般的な屋上用ウレタン防水を、「同じ防水材だから」という理由だけで浴室へ流用するのは適切ではありません。
大切なのは、材料名だけで判断せず、使用場所に適したメーカー仕様を選ぶことです。
アスファルト防水と聞くと、大きな釜で材料を加熱し、煙や強い臭気が発生する工法をイメージする方も多いかもしれません。
しかし、当社が施工する無溶剤型アスファルト防水は、従来の熱アスファルト防水とは施工方法が異なります。
常温反応硬化型のポリマー改質アスファルト防水材と、補強用ルーフィングを組み合わせ、常温で防水層を形成する工法です。
熱アスファルトのように材料を高温で溶かす必要がなく、溶融釜や火気を使用しません。熱や煙の発生を抑えられるため、浴室などの室内でも安全に施工しやすいことが特長です。
なお、低臭・低VOC仕様とする場合は、主防水材だけでなく、下地に使用するプライマーや端部処理材についても、メーカーが認めた水系・低臭材料を選定します。
当社では、無溶剤・常温施工が可能な「ケミアスルーフ防水」を取り扱っています。
ケミアスルーフ防水は、単に液状のアスファルト材料を塗るだけの工法ではありません。
常温反応硬化型ポリマー改質アスファルトと、強度のある補強ルーフィングを交互に重ね、一体化した防水層を形成します。
これにより、次のような性能を確保します。
熱アスファルト防水が持つ防水性能を生かしながら、施工時の安全性と作業環境を改善した工法です。
RC造のタイル仕上げ浴室には、「ケミアスルーフNCA-501保護密着工法」が適しています。
NCA-501は、常温反応硬化型の改質アスファルト防水材である「ARケミアスライナーN」と、補強用ルーフィング「ボンルーフ」を交互に施工する工法です。
基本的な構成は次のとおりです。
NCA-501は補強ルーフィングを2層使用するため、一つの防水層だけに性能を依存しません。
一部に小さな施工上の弱点があった場合でも、複数の層がお互いを補います。完成後に防水層の補修が難しい浴室において、この複層構成は大きな安心につながります。
ウレタン防水は、液状材料を塗り重ね、継ぎ目のないゴム状の防水層を形成します。
これに対してケミアスルーフNCA-501は、常温硬化型の改質アスファルト防水材と、補強ルーフィングを2層積層して防水層を形成します。
| 比較項目 | 一般的なウレタン防水 | 無溶剤型アスファルト防水 |
|---|---|---|
| 主な構成 | 液状ウレタンによる塗膜 | 改質アスファルトと補強材 |
| 防水層 | 継ぎ目のない塗膜 | 補強された複層防水 |
| 膜厚管理 | 塗布量の管理が重要 | ルーフィングにより安定させやすい |
| 複雑な形状 | 対応しやすい | 細部の積層技術が必要 |
| 長期滞水 | 一般屋上用は不向き | 保護防水仕様として実績がある |
| 保護モルタル | 浴室専用仕様が必要 | 保護層を設ける仕様が確立 |
| 火気 | 原則として使用しない | 常温型は使用しない |
| 熱・煙 | ほとんど発生しない | 熱工法と異なり発生を抑えられる |
| 臭気 | 材料による | 無溶剤・水系材料の選定で軽減可能 |
| 主な適性 | 屋上・バルコニーなど | RC浴室・保護タイル仕上げなど |
どちらか一方が、すべての現場で優れているわけではありません。
複雑な形状や軽量化が求められる場所では、ウレタン防水の施工性が大きな利点になります。一方、RC造のタイル仕上げ浴室のように、長期間湿潤状態となる可能性があり、保護モルタルが施工され、完成後の補修が難しい場所では、補強ルーフィングを積層する無溶剤型アスファルト防水が適しています。
現場ごとに構造、下地、使用環境、仕上げを確認し、適切な工法を選ぶことが防水のプロの仕事です。
防水層は、工事が完成するとモルタルやタイルの下に隠れます。
普段は目に見えませんが、建物を水から守り、そこで暮らす人の安全と快適さを支えています。
浴室防水では、材料を塗ったりルーフィングを張ったりするだけでなく、次のような作業を行います。
ほんの小さな施工ミスが、数年後の漏水につながることがあります。
反対に、一つひとつの工程を丁寧に積み重ねれば、長期間にわたって建物を水から守ることができます。防水工事には、機械だけでは置き換えられない職人の知識、判断力、手仕事が必要です。
当社では、ウレタン防水をはじめ、ケミアスルーフによる無溶剤型アスファルト防水など、建物と施工場所に適した防水工事を行っています。
防水工事の経験者はもちろん、未経験の方も歓迎します。
未経験の方は、最初からすべての作業を任されるわけではありません。まずは、現場の養生、清掃、材料運搬、材料の準備、先輩職人の補助などから始めます。
その後、経験に応じて、
といった専門技術を段階的に身につけていきます。
防水は、新築工事だけでなく、既存建物の改修や維持管理にも欠かせない仕事です。一度身につけた技術を、長く仕事に生かすことができます。
防水工事は、完成すると見えなくなる仕事です。しかし、その品質は建物の寿命と利用する人の安心に直結します。
私たちと一緒に、見えない場所まで責任を持てる防水職人を目指しませんか。